作家は、長い間書家であったそうだ。“古利根”という場所があり、そこは作家の原風景だそうだ。作品は、作家のフィルターを通した“古利根”を転写したのだろう。この“古利根”の先に行くためにも、表層の自分を剥ぎ取り、書家としての自分を壊し、“古利根”を描き切らなければならなかったのだろう。作品は、びじゅつ室の壁という壁を埋め尽くした感があり、縦横に弾け、頭で考えることを忘れて身体運動としての舞踏をした。遥か彼方のイメージを引き寄せるために大地を踏み鳴らし、作家のもつ総ての力を奮い立たせて作品に挑んだ。
“古利根”、見る者たちはここを知らない。しかし、かつて風を感じ、大地の声を聴きながら暮らしていた刻の記憶を呼び覚まされた筈だ、作家自身の震えの振幅と共に。
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“古利根”、見る者たちはここを知らない。しかし、かつて風を感じ、大地の声を聴きながら暮らしていた刻の記憶を呼び覚まされた筈だ、作家自身の震えの振幅と共に。
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小島 靜ニ
(かとう・やすし)
1953年 東京都練馬生まれ
1977年 学習院大学法学部卒業
1972年〜書道をはじめる
1980年〜独学にて絵画を始め、現在に至る。
[主な個展]
2001年 しらみず美術/東京
2002年 しらみず美術/東京
2003年 小島びじゅつ室/東京
2004年 コバヤシ画廊/東京 ほか、グループ展・公募展多数