作家の初期作品展であったために展示・照明等全てびじゅつ室にておこなった。作家は、初日前夜にびじゅつ室を訪れ、舐めるように作品群と向き合った。黙して孤独であった時を遥か彼方に見据えている姿がそこにあった。
彼の初期作品群には、弱者の王道を率直に、それもどこか楽しんで描いているように見えたものだ。一作品に何枚分もの平面を設えて、塗っては消し、消しては塗りを重ねていた。特に板をキャンバスにしている作品群には、傍観者として実に切なかった。額装までも自分で設えていた。現在、作家は多大な評価を得て、当室にも多くの来室者を迎えることになった。
作家の初期作品に限れば、無名性の悲しみと、描きたいという強い意思が描かれていた。世間的評価は、時としてそれを仕舞い込んでしまう。開かれてゆき、成長してゆく作家の軌跡となる展覧会だった。
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彼の初期作品群には、弱者の王道を率直に、それもどこか楽しんで描いているように見えたものだ。一作品に何枚分もの平面を設えて、塗っては消し、消しては塗りを重ねていた。特に板をキャンバスにしている作品群には、傍観者として実に切なかった。額装までも自分で設えていた。現在、作家は多大な評価を得て、当室にも多くの来室者を迎えることになった。
作家の初期作品に限れば、無名性の悲しみと、描きたいという強い意思が描かれていた。世間的評価は、時としてそれを仕舞い込んでしまう。開かれてゆき、成長してゆく作家の軌跡となる展覧会だった。
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小島 靜ニ
（かとう・いずみ）
1969年 島根県に生まれる
1992年 武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業
［主な個展］
1993年 モリスギャラリー/東京（94）
1995年 藍画廊/東京（00,01,03）
1996年 ギャラリー・ル・デコ/東京（97,98）
1999年 かわさきIBM市民文化ギャラリー/神奈川
2000年 23ギャラリー/東京
2001年 Murata & Friends/ベルリン（04,06）、水戸芸術館現代美術ギャラリー/茨城
2002年 ガレリア・キマイラ/東京、
2004年 αM プロジェクトVol.5、ASK? art space kimura/東京
2005年 加藤泉 展「裸の人」 SCAI THE BATHHOUSE/東京、Galleria Atsumi/ピエトロサンタ・イタリア
2007年 「黙」高橋コレクション/東京、「人へ」ARATANIURANO/東京
ほか、グループ展多数
［コレクション］
岡崎市美術博物館/愛知、豊田市美術館/愛知、原美術館/東京