作家は、長い間ずっと自身と向き合ってきた。そして、いつもそこから先へ宙を飛んで理想郷を作品に描いてきた。それは、作家の中で終わりも始まりもない世界であり、時間であった。しかし、今展においてその先の世界を現の世界に置換した。いや、作家の理想郷へと向かう道程を描き始めた。その行為は、見る者たちに共鳴を与えた。共感を覚えた者が多々あったと思えた。
作品サイズの厚みが一定となり、正面性に重心を置いた平面作品となり、エッジも立ち上がってきた。ここからの作家は、どんどんと軽やかに、そして静かに、また強くなっていくことと思われる。
かつて「私が、私を表現しないで、どうして私が生きていると言えるのか」と問いかけられた時があったが、そのことを正に納得させられた展覧会だった。
小島 靜ニ
(やまもと・まりこ)
1958年 東京都に生まれる
[主な個展]
1984年 GALLARY宙/東京
1985年 藍画廊/東京(87,88,90,92,95,00,03,05)
1986年 Laboratory/札幌(87,89)、Gallery+1/東京
1988年 GalleryQ/東京
1989年 Open House Gallery/NY
1991年 ギャラリーミヤシタ/札幌
1992年 桜倶楽部/小樽(01)、ギャラリーαM/東京、ギャラリーポエム/東京(94,95,97)
1998年 INAXギャラリー/札幌 ほかグループ展多数