原案では、3案あった。その中から作家自ら梟を選択した。茶室の分を含めて計4羽の梟であった。今展の見所は、梟の爪であったと思われた。今、正に飛び立とうとする羽をもぎ取られた梟、大地へと倒れ落ちようとする梟、体を射抜かれ既に骸になっている筈なのにじっと佇み正視する梟、３羽は、それでも枝を強く握りかろうじて姿勢を保っている。その姿態は、室温をぐっと下げる。恰も冷蔵室にいる心地だ。

茶室の扉を開けると生ぬるい生の部屋に、断末魔を迎えている梟が仰向けに空を切っている。あと何分生きていられるのだろうか。何がこうさせたのか。この梟だけは、空を掴む。そして今そこまで来ている死に対向している。

作家は、二つの部屋を生の記憶と終焉とに分け、それらの原因、経過、結果の全てを梟の形を借りて表現した。彫刻の周囲を取り巻く空気で表すこの脚本は、極上のものといえよう。



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