作家は、膨大なる資料を携えて作品を設置し、びじゅつ室を戦禍の痕跡場に設えた。空爆によって被災を受けた日本各地の上空からの写真をガラスに彫刻し、照明をその面に投影して壁にその影を作った。ガラス面を直接見ても何が彫ってあるのか判然としない。しかし、照明の映し出した壁の影は、紛れもなく被災地の生々しい図が浮かび上がっている。
広島・長崎・神戸・沖縄・東京等次々と像が見えてくる。しかし、暫く眺めていると空爆を落とした飛行機も上空に写っている。ふとその高みの視点に気付いた時の怒りにも似た感情は見る者たちの明らかに戦争を超越したものへの喚起を促す。あらゆる総てを見取り、更にそれを容認したものへの意識が、びじゅつ室を戦場と化した。
この作家の意図するものは、とてつもなく深く、高みにある。人間の業を感じずにはいられない場であり、作品であった。
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広島・長崎・神戸・沖縄・東京等次々と像が見えてくる。しかし、暫く眺めていると空爆を落とした飛行機も上空に写っている。ふとその高みの視点に気付いた時の怒りにも似た感情は見る者たちの明らかに戦争を超越したものへの喚起を促す。あらゆる総てを見取り、更にそれを容認したものへの意識が、びじゅつ室を戦場と化した。
この作家の意図するものは、とてつもなく深く、高みにある。人間の業を感じずにはいられない場であり、作品であった。
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小島 靜ニ
（あぐに・ひさなお）
1965年 沖縄県に生まれる
1993年 大阪芸術大学芸術学部芸術専攻科修了
［主な個展・グループ展］
1997年 個展「月代の旗を掲げて舟を出す場所」ガレリア・キマイラ/東京、企画個展 アートギャラリー ラ・フェニーチェ/大阪
1998年 グループ展「EGO-SITE 沖縄現代美術1998」アートガーデンかわさき/川崎、SHIGA-ANNAL98'「精霊の宿るところ」滋賀県立近代美術館/滋賀
1999年 「VOCA展1999」上野の森美術館/上野
2000年 企画個展「Diagram」展 画廊沖縄/沖縄
2001年 企画個展「Diagram Cube」アートギャラリー ラ・フェニーチェ/大阪
2002年 企画個展「Diagram Cube」METAL ART MUSEUM/千葉、企画個展「Diagram／Cube」画廊沖縄/那覇市、沖縄復帰30年特別企画展「沖縄美術復帰30年軌跡と展望」読谷村立美術館/読谷村
2003年 グループ展「Chiba Art Flash '03」千葉市民ギャラリー・いなげ/千葉
2005年 企画個展「空爆」小島びじゅつ室/東京、第1回出雲玉造アートフェスティバル 玉造温泉/島根