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鈴木省三展 『行方』 

80年代・森から、90年代・空へと、2002年・行方のⅢ期に分け展覧を構成した3ヶ月に及ぶ長期展覧会であった。びじゅつ室の杮落としとなる今展企画には、約5年の歳月が作家と共にあった。

第Ⅰ期(森から)は、静かで深い闇の森が呈示された。「色は、言葉である」と言う作家の言葉を証明するかのごとく、一筆一筆が丁寧に語っていた。闇の中を蝶のように飛び交う色、森の精霊のような色たちに深い緑の森は、孤独だが饒舌に語っていた。

第Ⅱ期(空へと)は、緑の分量が減り、逆に黄茶色の大地のような姿が出現してきた。

この時期の作品は、恰も森から緑が剥ぎ取られて地が露出している様相にも見えた。しかし、別の見方をすると、作家だけの世界からの脱皮していく姿にも映った。

第Ⅲ期(行方)での新作「希望」は、作家の作品では初めての試みとも言える横位置の作品であり、主に黄色と白色との筆跡が鱗状に旗めいている広がりと流れを、そして手掛かりとでもいうべき漆黒の骨格が右端に据えられていた。作家の希望そのものなのか、見る者たちへのテーゼなのか。現社会に対してのオマージュとも取れた。

杮落としでありながら、3ヶ月の長期展であったため、全エネルギーを使い果たした感のある展覧会であった。


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小島 靜ニ

(すずき・しょうぞう)
1946年 大阪市に生まれる
1969年 同志社大学卒業
1970年 フォルム絵画研究所にて研修

[主な個展]
1978年 藍画廊/東京(79)
1980年 ときわ画廊/東京(81,82)
1983年 Studio 4F/東京(84)、二人称画廊/東京、
1985年 コバヤシ画廊/東京(86,90,92,95,97,98,99,00,01,03,04,05)
1986年 ギャラリー・ラランヌ/東京
1987年 佐谷画廊/東京、
1992年 ガレリア・フィナルテ/名古屋(99,03,06)
2002年 小島びじゅつ室/東京(04,06)
ほかグループ展多数

[パブリックコレクション]
東京国立近代美術館(東京)、東京都現代美術館(東京)